ウォルマートが、日本市場から撤退することになりました。倒産危機で傘下に入っていた西友はどうなるのでしょうか? 売却するのでしょうか?店舗閉鎖・人員削減が噂されていますが、大リストラの嵐がありえるのか、撤退がいつかも含めまとめました。
西友
西武グループの一員
西武百貨店が立ち上げたスーパーで、関東を拠点としています。
食品と非食品を50%ずつといった、明確な経営方針をかかげてきました。
その後、伊藤忠商事と西武百貨店が合弁して設立したマイマートと提携しながら、主に西武沿線で事業拡大をすすめてきました。
過去から、在庫・物流の合理化といった点に注目していた先見の明のあるスーパーでした。
今は、非常に有名になっている、無印良品の商品を売っていたことでも有名です。
高度成長期は大量販売に主眼を置いていましたが、市場の成熟とともに百貨店路線へシフトし始めるなど、顧客志向の変化にも敏感なスーパーでした。
その後、バブル崩壊で傘下の会社「東京シティファイナンス」が多額の不良債権を有するに至り、経営が傾き始めます。
経営を改善させるため、貴重な事業だった「ファミリーマート」「良品企画」「インターコンチネンタルホテル」などの株式を、外部へ売却することになりました。
本業も、店舗の大量閉鎖を皮切りに、百貨店形態の店舗を外部へ売却するなどしました。
そこで、食品スーパー形態へ事業をシフトするとともに、住友商事との資本提携も結びます。
そして2002年には、アメリカのウォルマートストアーズの傘下へ入ることになりました。
倒産危機でウォルマート傘下
徹底した安売りで事業を拡大してきたウォルマートのノウハウを、西友でも導入します。
例えば、1つの品目を大量に陳列することでの作業効率化や均一セール、商品情報管理システムの導入を行うとともに、プライベートブランドの導入や余剰人員の削減のための早期退職制度も行います。
最終的には、ウォルマートの完全子会社になりました。
ウォルマートは売却?撤退はいつ?
業績がなかなか思うように任せないので、ウォルマートもついに西友を売却する方向へ舵を切ります。
国内流通大手や投資ファンドへ、売却の打診を始めたのです。
まだ買い手が現れたわけではありませんが、以下のような報道がなされています。
売却額は3000億~5000億円規模になる
出典:日本経済新聞
ただ、撤退はいつになるのか、まだ決まっていません。
西友どうなる?
多くの場合、売却のニュースが表に出る時点で、おおかた買主の目処はついているものです。
そうしないと、売主側が恥をかきますし、値段を叩かれることが必然だからです。
よって、ウォルマートから他社の傘下へ移ることはほぼ間違いないと見ていいでしょう。
西友の事業の魅力ですが、専門家は以下のように語っています。
老朽化した店舗の改修、効率改善技術導入の投資、商品群の見直しなどでコストが発生するという要因が西友の買い手を限定することになる
日本国内では人口動態上の傾向として、コンビニのようなより小規模の小売店舗が好まれており、スーパーにとっては長期的な成長が見込みにくくなっている
出典:Bloomberg
現在の事業の延長線上では、行き詰まりが見えているということでしょう。
中国からの訪日客などのインバウンドを意識した事業への抜本的な転換も、一つの選択肢でしょう。
注目される買い手はまだ不透明ですが、拡大志向のイオンか、はたまた中国系の企業の可能性もあるのではないでしょうか?
店舗閉鎖・人員削減の大リストラの嵐か!?
事業がうまくいっていないから売却されるわけなので、売却が無事に決まったとしてもリストラは不可避でしょう。
買い手にとって魅力的な新しい店舗は少ないので、収益力の低い店舗はさらなる閉鎖が見込まれます。
また、買い手が現れたとしても、近隣店舗と商圏が重複している可能性が高いでしょう。
よって、店舗統合やそれに伴う人員削減も、ほぼ間違いなく行われるでしょう。
ただ、多くの業績不調企業でも見られる傾向として、優秀な人材はリストラ前にすでに辞めているという事実は見逃せません。
つまりリストラを始める時点で、雇う側として魅力を感じるスタッフはそんなに多くないという側面もあります。
そのため、売却に伴う人員削減もかなりドライ・シビアなものになることが想定されます。
なお続報は、以下の記事でまとめています。
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