死刑は廃止すべき? 被害者遺族の感情・賛成反対意見と廃止論者の言い分まとめ

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死刑囚7名が、18年7月6日に死刑執行されました。死刑廃止制度が議論されていますが、廃止されるべきなのでしょうか?ありえない・意味不明・頭おかしいという被害者遺族の感情の意見と、人権侵害・復讐の連鎖防止という反対意見・廃止論者の言い分をまとめました。

死刑は廃止すべき?

死刑の意味

殺人事件を犯すなど、ひどい犯罪を犯してしまった場合に適用される罰則の1つです。

その名の通り、「犯人自らの命を絶つ」ことで罪を償う刑罰で、日本の罰則制度で一番の厳罰です。

無期懲役など他にも罰則制度はあるのですが、死刑だけは「犯人の命」が償いの代償になるという意味で、重みが全く異なります。

死刑がなぜ議論になるのか?

教科書っぽい話ですが、憲法で、「人の命は最大限尊重しなきゃいけないよ!」って言っています。

生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

出典:ウィキペディア

その規定に真っ向から対立するかのように、日本国自身が(たとえ犯罪者とはいえ)人の命を堂々と断っているのが死刑です。

「憲法で言ってることと、矛盾してるんじゃね?」

この点が、死刑制度の最大の論点です。

賛成意見と被害者遺族の感情

賛成意見の根拠は?

賛成意見にも、根拠は様々です。

例えば、被害者遺族の感情を慮ることや、凶悪犯罪の抑止力を期待するなどです。

被害者遺族の感情

人は死んでしまったら、二度と戻って来ることはできません。

つまり、親族を誰かに殺されてしまったら、その親族には二度と会えないのです。

遺族からするとやりきれない気持ちになるでしょう。

その遺族の心の痛みを少しでも和らげるために、死刑制度は存続させるべきという考え方です。

この考え方の根本にあるのは、「殺人犯には、国に保護されるべき人権はない」という思想です。

凶悪犯罪の抑止力

「人を殺してしまったら、自分の命も奪われるよ」と言われたら、犯罪を犯そうとしている人が思いとどまるだろう・・・

「犯罪抑止力」の考え方です。

ただ、近年の犯罪凶悪化を見ると、死刑制度が抑止力になっているようには見えないのも事実です。

反対意見と廃止論者の言い分まとめ

犯罪者にも人権はある

「犯罪者にも人権はある」「たとえ国であっても、人の命を奪うのは許されない」

犯罪者の人権を最大限尊重すべきという考え方です。

至極真っ当な考え方なのですが、「遺族感情とどう折り合いをつけるのか?」に明確な答えはありません

憲法もよ〜く見ると、「公共の福祉に反しない限り」と限定句が書かれています。

ここをどう解釈するのかが、非常に悩ましい・・・。

凶悪犯罪抑止力になっていない

これは的を得ています。

日本では死刑制度があるにもかかわらず、殺人事件も凶悪犯罪も後を絶ちません。

冤罪の可能性がある

裁判官・検察官といえども、人間です。

判断を間違えることもあれば、人間関係が理由で意図的に判断を間違える可能性もゼロではないでしょう。

先日も袴田事件で、冤罪の可能性が高いと報道されています。

冤罪が決定的に問題なのは、「本来は国に命を断たれるべきではない人が、命を断たれてしまう」ということです。

冤罪がゼロでない以上、死刑制度は根本的に間違っているという考え方です。

死刑廃止論者の考え方は?

絶えることのない、賛否両論が渦巻く論点なので、いろんな方々が様々な意見を展開しています。

代表的なものをあげると、例えば早稲田大学の森岡正博先生です。

この他には、歴史学者の住友陽文先生も以下のようにコメントされています。

世論は?

森岡正博先生がコメントされている通り、日本では死刑賛成が多数派で、国際的な流れとは逆行しています。

そういった世論は政治家にも有形無形の圧力になっているようです。

平岡秀夫氏(元民主党衆院議員)も、在任中の執行はなかったが、一部の支援者から「死刑を執行しなかったら、応援しませんよ」と言われたことがあると明かした。

出典:弁護士ドットコム

無言の圧力についてコメントされているのは、漆原良夫氏さんです。

「死刑ではっきり物事を言うのはリスクになる、という議員心理がある」と語るのは、衆議院議員を引退したばかりの漆原良夫氏(現公明党顧問)

出典:弁護士ドットコム

死刑執行状況をリアルタイムで速報するよりも、このあたりの議論にフォーカスした報道をするのが、より建設的だろうと考えます。

【次の記事】

死刑制度の反対意見と賛成意見を比較

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