abc予想を宇宙際タイヒミューラー理論を使って証明した望月新一教授が、ご自身のブログ記事を更新されました。そこで、教授のブログ記事の最新情報やポイントをまとめました。
望月新一教授のブログ最新情報まとめ!宇宙際タイヒミューラー理論編
例年、年明けにブログ記事を公開している望月新一教授ですが、2020年も1月5日にブログ記事を公開されました。
2017年には「望月新一教授の論文が査読を通過した!」という報道がなされたことで大騒ぎになりましたが、その後、専門誌に掲載されることはなく、世間は「どうなった?」とその後を気にしていました。
今回のブログ記事では、これまで報道されてこなかった情報が、固有名詞を伏せつつもかなり綿密に書かれています。
なお、筆者自身は数学の専門家ではありませんので、数学の素人にもわかる程度の情報のまとめになる点をご容赦下さい。
内部告発という表現が冒頭に
ブログ記事冒頭に「内部告発」と書かれていて、今回のブログ記事は少なくとも誰かの良くない行動を公にすることを目的にした記事に思えました。
記事の標題にあるテーマについて度々聞かれますので、この際、内容をきちんと整理して皆さんにお伝えしたいと思います。この内容は報告とも言えますが、広い意味での、一種の「内部告発」とも言えます。
出典:新一の「心の一票」
記事を読み進めていくと、節々に「特定の誰/集団」が学問の発展からはおよそふさわしくない行動を続けていることについて、何度も批判されています。
「出鱈目」という表現がふんだんに使われている
「出鱈目(でたらめ)」は、一部の数学者から提起されている反論が完全な的外れであることを明言されていると言ってもいいでしょう。
また、宇宙際タイヒミューラー理論の論文の査読が「異常なほどに」はっきりしない現状に対して、その原因が「学問上の根拠がない」とご判断されていることも込められています。
宇宙際タイヒミューラー理論の検証は事実上完了している
2014年に望月教授が公開された現状報告では、理論の検証は終盤を迎えつつも、まだ検証中と言っても良いという趣旨の発言をされていました。
ところが、今回のブログ記事では、「事実上完了した」「もう検証するところはない」という温度感で主張されています。
むしろ、査読結果が判然としない現状に対して、強い不快感をお持ちなのが、文章の節々から感じられます。
理論の検証や更なる発展に関わった研究者の中には、様々な国籍、所属大学、年齢、職位等の方が含まれていますが、特に講師(相当)以上の研究者の場合、それなりの研究実績を有していて、数学雑誌の論文の査読を何十件も担当した経験のある方も何名も含まれています。これらの事実だけから考えても、IUTeichの論文が未だに正式に出版されていないことは大変不思議で不自然・不可解・不条理なことであり、実際、多くの理論の関係者はまさにそのような認識でおり、またそのような趣旨の発言を度々口にしています。
出典:新一の「心の一票」
宇宙際タイヒミューラー理論を真剣に研究・学んだ者からすれば明らかに正しいことがわかるにもかかわらず、頓珍漢な理由・原因によって数学界で正式に受け入れられていないことへの鬱慮(不快感?)を、望月教授ご本人以外の方も感じていることがよくわかります。
論文の査読の時系列が詳しく書かれている
いままでの報道では情報が断片的だったのが、今回のブログ記事では詳細に書かれています。
2012年8月:IUTeichの連続論文4編を某数学雑誌に投稿
2016年5月:査読報告書を受け取る
(=「論文の出版を非常に強く薦める」内容)
2017年9月:雑誌から「本番の出版用の最終版」の提出を求める連絡
暫くして :論文の完成版を提出
出典:新一の「心の一票」を加工
2017年12月に報道された内容と、論文の完成版を提出した時期が近いなと思わずにはいられません。
ブログ記事を拝見すると、2016年5月以降に論文の成否に関する「正式な意見」を全く受け取っていないことが明らかにされていて、それがいかに異常な状況かも詳細に記載されています。
私は、これまで約30年間にわたり、著者、査読者、編集委員、編集委員長等、様々な立場、また様々な雑誌での論文の査読に関与した経験がありますが、このように「論文の出版を非常に強く薦める」極めて肯定的な内容の査読報告書が著者に送られ、その後、3年8ヶ月もの間、何の説明等もなく、論文が事実上放置される(のと、著者からすれば区別が付かない)状況に置かれる、といったような事例に遭遇したことがありません。
出典:新一の「心の一票」
真相はわかりませんが、おそらく2017年9月以降に数学誌の出版・査読側に「反望月派」的なグループから圧力がかかったのだろうと推察されます。
望月教授のブログ記事では明確には仰っていませんが、そのような意味を含んだ文章が何度も出てきます。
また、論文の査読に長時間かかる場合は「ごめんね、あと○ヶ月で・・・」的な話があるようなのですが、宇宙際タイヒミューラー理論の論文に関しては一切ないとのことです。
この点に関して望月教授は以下のように指摘されていて、やるせない気持ちを表現されています。
海外の数学界のとある勢力による、私の研究に対する「激しい敵意」については、恐れを成してしまっている(=平たくいうと、「ビビってしまっている」)のでしょうか、毅然とした姿勢を取ることを完全に拒み、事実上、論文を放置し「機能不全もしくは機能停止」のような、如何にも残念(=情けない?)状態に陥っているように見受けられます。「中立的」な「玉虫色」の状態を維持することこそ、最も究極的に潔い姿勢である、と言わんばかりの方針で動いている雑誌や大学行政の関係者が相当数いるように見受けられます。
出典:新一の「心の一票」
この一節を読んでもわかる通り、数学専門誌の出版側へ何らかの圧力?がかかっていることを、ほぼ明言されています。
一方で査読者の知識水準については、以下のように高い評価をされています。
2016年5月に受け取った査読報告書の場合、その書き方(=詳細な技術的な指摘等)からは明らかですが、立派に適任な研究者によって執筆されたものです。
出典:新一の「心の一票」
但し、論文の査読が止まったままの状況になっている主犯については、「情報を持ち合わせていない」とされていて、原因は掴みかねているようです。
では、海外ではどんな評価がされているのでしょうか?
海外の評価
2018年には著名な数学者のピーター・ショルツ教授と議論をされたことが公開されていますが、同教授は「宇宙際タイヒミューラー理論に深刻なギャップあり」と表明されています。
ですから、20年1月5日に公開されたブログ記事を読んだ瞬間に、ピーター・ショルツ教授のことが頭に浮かびました。
ですが、望月教授が20年1月5日に公開されたブログ記事では、ショルツ教授のことを名指しでコメントされている箇所は全くありません。
ショルツ教授並びに同調するグループを想定した記事に思えてなりませんが、名指しされていない以上は当ブログでも名指しするわけにはいきません。
ですので以下では、「海外の否定派」という表現で書いていきます。
この点に関して、望月教授は以下のように断り書きをされたうえで、「内部告発」の記事を書き記しています。
広い意味での告発の対象は「海外の数学界のとある勢力による無意味な数学的な誤解」ということになりますが、より直接的・具体的な意味での告発の対象である「非建設的なブラックホールを発生させている黒幕」の正体は不詳のままである
出典:新一の「心の一票」
とはいえ、証拠は掴みきれていないものの、ほぼ特定できているとでも読めるような一節もブログ記事で記されています。
海外の数学界のとある勢力を「震源地」とする妨害活動によって発生している事態と思われます。その海外の数学界のとある勢力は、(長年にわたるネット上の書き込み・誹謗中傷等からは明らかですが)私や私の研究に対して極めて激しい敵意を持っている人たちです。
出典:新一の「心の一票」
望月教授は、海外の否定派がなぜそのような行動をしているのかについて、「非学問面」と「学問面」の両方が影響しているのではと分析されています。
非学問面
激しい敵意の原因については、謎の部分が多く、純然たる感情論や様々な社会的・文化的・政治的な背景、といったような非数学的な要因も少なからずあるという印象を強く受けております
出典:新一の「心の一票」
学問面
とある数学的な誤解も大きな要因ではないかと考えています。
出典:新一の「心の一票」
人の功績を素直に讃えられないという、いわば「妬みの感情」は人間の自然な感情の一側面でもあるので現状はむつかしいところです。
人間社会ですから、おそらく学問の世界でも学問の絶対的真実性だけが議論されるわけがなく、学問的な政治力の話はあるでしょう。
とはいえ、それが今回のような世界的な妨害行為に結びついてしまっては、学問の健全な発展にとって好ましいことではありません。
このような類の話は、数学の世界に限った話ではないようで、twitterでも「自分もこういった類の経験がある」というツイートを見ることができます。
では、どんな誤解をされているのでしょうか。
誤解の真相は、端的に言うと以下の点に尽きるそうです。
一言で言ってしまいますと、「大元誤解」の本質は、よく知られている論理演算子「∧」(=「AND」=「かつ」)と「∨」(=「OR」=「または」)の混乱によるものです。出典:新一の「心の一票」
望月教授は、この一節の後もいくつかの具体例を用いて非常にわかりやすく誤解の真相を解説されています。
そのため、ブログ記事の中盤以降は数学的な話が少なからず記されていますが、高校の数学レベルの知識があれば読めるそうです。
ブログ記事の結論と今後の展開
そして記事の締めくくりとして、異常なほど長時間がかかっている(=査読がストップしている)現状の根本原因については、「海外否定派」「忖度の文化」によるものと結論づけられています。
正常な、建設的な数学的な議論を行なっている研究者をトンデモ系の「狂った異端者」として描き、その上、威圧的な政治的な空気や恐怖を撒き散らし、また場合によってはネット上の誹謗中傷で威圧的な空気や恐怖を拡散させ、更に、その恐怖の文化という虚構に対して「忖度」や萎縮の塊と化して跪き、機能不全・機能停止に陥ってしまう関係者を究極的に潔い人格者として持ち上げるといった要素・「症状」からなる文化的風潮こそが、論文の審査や数学の研究者の議論を機能不全・機能停止に追い込んでいる「真犯人」=IUTeichを巡る世界的な混乱の本質・真相と言い切ってよい出典:新一の「心の一票」
2020年1月5日に公開されたこのブログ記事は、かなり強い口調で書かれています。
また、(固有名詞の特定まではされていないものの)事情を知っている人が読んだり、一般人でもググれば容易に想像がつく可能性のある方を批判の対象にされています。
筆者も望月教授のお考えに納得ですが、中にはご気分を害される方もいるだろうことは容易に想像がつきます。
ですが望月教授は、学問の健全な発展を妨げる現状に受け身の姿勢を取る事はないとお考えのようで、2020年には訪問滞在型研究が複数回予定されているようです。
時期は5月から9月にかけて4回が予定されていて、初回を除き2回目から4回目にかけては望月教授も出席される予定です。
また、Ivan Fesenko教授は4回とも出席されるようです。
この訪問滞在型研究をきっかけに、宇宙際タイヒミューラー理論が数学界に正式に受け入れられることを願っています。
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