パナソニックに所属するアマ球界の超有望株吉川峻平が、Dバックスと契約したことで日本野球連盟(JABA)の規定に抵触し、激震が走っています。メジャー挑戦という進路がなぜ大問題なのでしょうか? 高校大学での成績や球速・持ち球の動画とともに、今後どうなるのかまとめました。
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吉川峻平のメジャー挑戦
パナソニックに所属
アマチュア野球の名門であるパナソニックに所属している吉川峻平投手が、メジャーリーグのアリゾナ・ダイアモンドバックスとマイナー契約を結びました。
それだけでも大きな驚きなのですが、契約手続の中で大きな違反行為をしていたことも発覚してしまったのです。
Dバックスと契約
メジャーリーグ30球団の一つに、「アリゾナ・ダイアモンドバックス」(以下「Dバックス」とします)というチームがあります。
過去には、ランディ・ジョンソンとカート・シリングという2大エースを擁して、ワールド・チャンピオンにも輝いている名門チームです。
そのDバックスと、吉川選手は入団契約を交わしました。
契約には、「メジャー契約」と「マイナー契約」があるのですが、吉川選手の契約はマイナー契約でした。
年棒は65万ドル(約7200万円)で、18年8月10日に契約を交わしました。
日本野球連盟の規定に抵触
JABAの規定は?
日本のアマチュア野球がメジャーリーグの草刈場になることを防ぐため、日本野球連盟では手続を定めています。
具体的には、以下の手続を踏む必要があったのです。
プロ球団と契約を締結する場合は締結日以前に登録抹消届を提出する必要がある
出典:サンスポ
つまりアマチュア野球の選手になるには、アマチュア選手として登録が求められているので、プロ球団と契約するときは、「アマチュア選手としての登録」を抹消しておく必要があるのです。
大問題はなぜ?アマ球界に激震
これがなぜ大問題なのでしょうか?
パナソニックといえば、アマチュア野球界の名門ですし、吉川峻平投手はドラフト1位間違いなしの選手でした。
そんな名門の選手が、踏むべき手続きを踏まなかったという大失態を演じたことと、メジャーリーグにドラフト1位候補をさらわれたこともあって、二重の意味で大激震だったわけです。
しかも、アジア大会野球競技の日本代表でありながら、大会を辞退して今回の一件です。
確信犯だったとみられても、やむを得ないでしょう。
その上に、アマチュア野球の一大イベントである「都市対抗大会」が終わる前に、ダイアモンドバックスと接触していたことも明らかになりました。
これも、連盟規定で明確に違反した行為です。
今後どうなる?
進路は?
おそらく当初の予定通りに、渡米することになるでしょう。
むしろ問題はその後で、メジャーリーグの挑戦がうまくいかなかった時のことです。
今は阪神で活躍している福留孝介選手を筆頭に、メジャーリーグでの挑戦を終えた後に日本プロ野球界へ復帰するのはめずらしいことではありません。
しかし吉川峻平投手は、今回の一件もあって、NPBでのプレーが一定期間認められない可能性が高くなったのです。
帰国後2年間NPBでプレーでいきない可能性
田澤ルール
今回の処分は、初めてではありません。
過去にも、「帰国後2年間NPBでプレーできない」という罰則を食らっている方がいます。
有名なのは、上原浩治投手(元レッドソックス、現巨人)とともにメジャーリーグで活躍した田澤純一投手です。
田澤投手は、日本プロ野球(NPB)を経ることなくメジャーリーグに挑戦したいという気持ちを持っていました。
これまでは、NPBを経てからMLB(メジャーリーグ)へ挑戦するというパターンしかなかったので、アマチュアトップの選手がメジャーリーグへダイレクトに挑戦するということは大きな問題になりました。
有望な選手が欲しいのはNPBもMLBも同じなので、日米のドラフト候補の選手にはお互いに手を出さないという「紳士協定」があったのです。
ただ、田澤投手の場合は「本人の希望」なので、問題を難しくしました。
そこで、田澤ルールという規定が整備され、NPBを経ずにMLBへ挑戦した選手には、一定期間NPBと契約できないことになりました。
田澤投手は、現在マイナーで苦しんでいますが、NPBが誰も手をあげないのは、田澤ルールがあるからです。
吉川投手は?
これだけ大きな問題になった上に、ダイアモンドバックス(Dバックス)と契約を交わしたのですから、田澤ルールの適用は免れないでしょう。
そもそも、帰国を想定せずに、MLBで骨を埋める覚悟ではないでしょうか?
高校は?
関大北陽高校を卒業しています。
甲子園の出場経験はありませんが、3年夏の大会で地区ベスト16を記録しています。
大学は?
関西大学を卒業しています。
リーグには1年春から参加し、3年春の2勝をはじめ、3つの完封を含む5勝で防御率1.92というピカイチの記録を残しています。
球速と持ち球の動画は?
持ち球は最速148キロのストレートと、シンカーです。
シンカーといえば、かつての阪急ブレーブスの大エース山田久志さんの必殺球でした。
この動画にはいろんなボールが映っていますが、0:40からのボールがシンカーです。
吉川峻平投手の動画はこちらです。
ちなみにメジャーでは、148キロクラスはゴロゴロいるので、球速では売りにはできません。
メジャーでシンカーを投げるピッチャーは、こんなにいます。
つまり、球速でも持ち球でも、ライバルはごろごろいるわけです。
なので、個人的にはグレッグ・マダックスを目指してほしいと思います。
戦後にデビューしたメジャーリーグの投手で史上2位の355勝に、空前の4年連続サイ・ヤング賞・ホームランが飛び交うステロイド時代にはありえない、2年連続防御率1.70以下という神様のような記録を持っています。
「凄まじいボールをたくさん投げれたんだろうね」と思うでしょうが、ところがどっこい、球速は日本人の平均的なスピードしかありません。
生命線は、超人的なコントロールと緩急にあったのです。
つまり、日本人投手の平均的なスピードでも、微妙なコントロールや緩急がうまくつけられれば勝負できるという好例です。
果てしなく遠い目標かもしれませんが、体のサイズや球速が普通でも大成できる模範ですので、ぜひ目指してほしいですね。
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