パワハラ問題を引き起こした塚原千恵子氏が、被害者の宮川紗江選手との会話を録音した音声データを公開しました。そもそもなぜ会話を録音していたのか理由謎ですが、宮川紗江選手本人に無断で会話を録音していたことに法律的に問題はないのか、法律違反はないのか、「違法性」についてまとめました。
Contents
塚原千恵子のパワハラ
池谷幸雄氏の言葉を借りると「女子体操界のドン」である、塚原千恵子氏。
自分が監督を務める朝日生命体操クラブに有力選手を集めたい一心で、立場の優位性を生かして宮川紗江選手に圧力をかけました。
報道から察するにこれまでも同様のことを繰り返されてきたようですが、宮川紗江選手は同じ轍を踏みませんでした。
パワハラの告発に踏み切ったのです。
音声データ録音公開はなぜ?
目上の人間が会話を録音?!
一般的に会話の録音は、是非はともかく、立場の低い人間が立場の高い人間の違法行為や問題行動を告発するために行うものです。
ところが今回は、加害者の塚原千恵子が被害者であるはずの宮川紗江選手との会話を録音しているという、摩訶不思議な行動をしていたのです。
「なぜ録音していたのか?」
その疑問に塚原千恵子氏は明確に回答はしていないので、推測によらざるをえません。
会話を録音した理由は?
人間の行動は、全て意図があります。
言葉には嘘が入る可能性がありますが、行動・意図には嘘が入り込む余地はありません。
「なぜ録音したのか?」
この疑問の答えは「後日、使うから」しかないでしょう。
使いもしない会話を録音するのは、無意味だからです。
つまり、塚原千恵子氏がこの会話を行なった時点で、既に現在の展開を見据えていたことがわかります。
公開された会話の中身は?
塚原千恵子氏が、代理人弁護士を通じて公開された音声情報は以下の通りです。
今回のパワハラ告発は宮川紗江選手のでっち上げと印象付けたい意図で公表されたものと考えられますが、しばらく聞いただけでも気分が悪くなります。
https://twitter.com/senpai_hato_/status/1035523189726568448
https://twitter.com/senpai_hato_/status/1035526067547648000
人間心理として、相手に非があることを印象付けたいのなら、そのために公表する音声データへ自分の立場が悪くなる情報を取り込むわけがありません。
都合のいい情報だけを切り取っている可能性が高いとみていいでしょう。
ただ、塚原千恵子氏にとって都合のいい(と思っている)箇所を聞いてみても、パワハラまがいの会話をしているように感じるのは、筆者だけではないでしょう。
むしろ意図とは逆に、「パワハラはあった」という印象を視聴者に与えてしまっている可能性すらあります。
塚原千恵子氏の感性が、かなり蝕まれてしまっていることがよくわかる音声データでもあります。
宮川紗江との会話録音の問題は?
盗聴は法律的に問題はないのか?
塚原千恵子氏の立場が正しいこと・守るために公表された、会話を記録した音声データ。
そもそも、宮川紗江選手の了解なく(了解しているはずがないですが)、会話を録音して公表することは問題ないのでしょうか?
訴訟の世界では「違法収集証拠排除法則」という考え方があり、このルールを犯していないかが検討ポイントになります。
塚原夫妻か、体操少女との無断録音をパワハラでない証拠として公開しようとしているというのだけど、これは問題だよな。一般的に、強い立場が弱い立場の人の音声を録音した時の音声テープの証拠能力は低いとされている。逆の時は高い。そもそも塚原夫妻の録音行為は違法収集証拠排除の原則に背馳する。
— 笹山登生 (@keyaki1117) August 31, 2018
法律違反はないのか?違法性は?
漢字ばっかりで難しい印象ですが、要は「法律を犯して手に入れた証拠は、裁判では証拠力がない」という意味です。
そもそも今回の音声データが「宮川紗江選手が嘘をついている」という証拠になるのか甚だ疑問ですが、今回の塚原千恵子氏が行なった盗聴は法律の違反をしているのでしょうか?
一般的に盗聴は、それ単独では違法行為とはみなせず、盗聴に伴って住宅に不法侵入したり、何かを壊した時に「違法行為」と判断されるケースが多いようです。
塚原千恵子氏がどのような手段を用いて盗聴したのかは不明ですが、おそらく自分の服か持ち物の中に集音マイクを忍ばせていたのでしょう。
つまり、「違法行為だ」というには根拠が薄弱なのです。
おそらく宮川紗江選手がパワハラ告発の前に会話を収録していたことはないでしょうから、「証拠に使える情報」という意味では、塚原千恵子氏の一人勝ち状態になっています。
まぁ、そもそも収録された音声データが、「塚原千恵子氏はパワハラしてない」の証拠になるかはかなり疑問です。
常識的な感性をもって聞けば、「高圧的に聞こえる」(=パワハラまがい)と感じるのが普通だからです。
ひょっとすると、塚原千恵子氏が墓穴を掘るかもしれませんが。
盗聴データの証拠力は?
塚原千恵子氏が宮川紗江選手との会話を盗聴していたことで、新たな展開になったパワハラ事件。
塚原千恵子氏の盗聴データについて、専門家はどのような捉え方をしているのでしょうか?
宮川紗江選手の担当弁護士を務める山口政貴弁護士は、以下のようなコメントを残されています。
「『パワハラがない』って言っているほうが録音とは『なんで?』と思う。真意が分からない」とした上で、千恵子氏の手法に「問題あると言えばある」と不快感を示した。
何より、立場のある指導者2人が18歳の未成年を密室に呼び出し、その際の不適切な言動で「宮川紗江選手の心を深く傷つけてしまった」(塚原夫妻文書)のなら、その時点で立派なパワハラ
いいところだけ一部切り取って穏やかな発言だけ出されても『そうですか』って感じで終わっちゃう
出典:東スポ
至極真っ当なことを言っているように聞こえます。
それにしても、目下の人間との会話を盗聴・録音しているなんて、なんて狡猾な御仁なんでしょうか・・・。
FAXでの謝罪の意図は?
18年9月2日になって、塚原千恵子氏は報道各社へFAXを送付します。
社交辞令的な文章が多く、非常に読みにくいのですが、要点は以下の通りです。
私たちの落ち度も認め、私たちの正当性を訴えることよりもまずは宮川紗江選手に誠実に謝罪し、向き合うことが大事であるにもかかわらず、宮川紗江選手を深く傷つけてしまったことに対して、重ねてお詫び申し上げます。
塚原千恵子の「黙ってないわ」など、塚原光男の「全部うそ」などの私たちの感情に任せた自分勝手な発言等により、私たちが宮川紗江選手と対立姿勢にあるとの印象を与えてしまいました。このような発言につきましても宮川紗江選手や宮川紗江選手のご家族に対して、恐怖心や不快感等を与えてしまったと思っており、本当に申し訳なく思っております。
出典:スポーツ報知
表面上は全面的に自分の非を認めているように見えますが、じっくり読むと「これまでの行動・発言は間違えていた」とは書かれていない点に注意が必要です。
具体的に何がどう間違っていたのかは一切書かれていません。
各報道でも、以下のように「何を」の説明がないという指摘がなされています。
パワハラ行為について認めるコメントはなく、何に対して、どう直接謝罪したいのかという重要な点についても明確にされていない曖昧で不透明な直接謝罪表明だった。現時点で宮川選手が、直接の謝罪を受け入れることは難しい内容で、事態の沈静化を目的とした“火消し謝罪”
出典:PAGE
つまり、「自分たちの行動・発言で傷つけてしまっていたらごめんね」としか言っていないのです。
以下のコメントから、「謝っているふりはするけど、自分たちは悪くない」という強い意思がしっかりと明記されているので、この文章は謝罪を目的としたものではありません。
宮川選手が告発したパワハラ行為を認めるコメントは一切なく「ハラスメント問題につきましては、日本体操協会が立ち上げる第三者委員会の調査活動に全面的に協力し、その判断を待ちたい」と、依然“対決姿勢”であることを明記している。
出典:PAGE
いわゆる、大人の文章ということでしょう。
それにしても、一連の事件で塚原千恵子・光男両氏の人間性がにじみ出ていますね。
裸の王様になっていて、そばに優秀なサポート役がいないのがよくわかります。
More from my site